七夕の織姫星(織女星)として知られる、夏の宵の夜空を飾ること座 のベガです。
夏の三角形 の中でも一際明るく輝く青白い星で、
Arclight of the sky(夜空のアーク灯)、夏の夜の女王星、真夏のダイアモンドなどに例えられる美しい星です。
太陽からの距離25光年、シリウス、カノープス、ケンタウルス座のα星アルファ・ケンタウリに次いで、全天で4番目に明るい星で、
地球の歳差運動のために1万2000年後には天の北極の近くに移動し、北極星として輝くようになる星です。
アラビア語のアル・ナスル・アル・ワーキ(落ちる鷲)で、
天の川をへだてたわし座 のアルタイルがその両側の星とともに、
翼を広げた鳥という印象なのに対して、
べガの方はすぐ近くにあるζ星ε星と合わせて∧型で、翼をたたんで降下する鷲という印象からきています。
古代アラビアでは、わし座 (アルタイルの含まれる星座)とこと座 のことを、アル・ナスライン(Al Nasrain)2羽の鷲と呼び、
これにはくちょう座 を加えて、3羽の大きな鳥が砂漠の夜空に舞う様子を想像していました。
中国では、「織女」「織女三星」と呼ばれ、
日本では、七夕の「織姫、織女星」、「たなばた女(たなばたとは棚機のこと)」「たきたなばた」「めんたなばた」などと呼ばれていました。
わし座 のアルタイルと合わせて「夫婦星」「天の河星」ともいわれます。
現在私達の太陽系は、およそ19km/秒という速度でヘルクレス座のξ星に向かって移動しています(太陽向点)。
ベガに近い方向なので、この先行く手のベガは少しずつ輝きを増してゆき、
およそ、32万5千年後には、ベガとを追い越してしまうそうです。
ベガは長い年月が経つにつれて青白い輝きを増し、美しく天球を飾ります。
遠い未来の話ですが、遠い日の星空に想いを馳せて、夏の夜空を見上げて見て下さい。
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